普段スーパーへ買い物に行く道を、今日はふと違う路地に入ってみた。
アパートや事務所の入ったビルが立ち並ぶ、ありふれた都会の一角を進んでいくと、小さな駐車場の真ん中に、せり出すような形で一本の桜の樹がそびえているのが目に飛び込んできた。まだ満開に近い形ではないが、それでも小さな花々が咲き誇り、春はここにも来ているのだと、静かに存在を示している。
ちょっと予想外だった。まさかこんな都会の真ん中の片隅に、ひっそりと桜の樹がたたずんでいるとは!
いつもの道ではなく、しばらく、ちょっとの間、この裏路地を通ることにしよう。