昨日までのあらすじ
歯医者さんに来たのだ!
老齢の歯科医は慣れた手つきで僕の口内をまさぐってきた。
「え~上からCR、斜線、C2、斜線、CR・・・。」
なんだ、何の呪文を唱えているんだこの歯科医は。
そんな矢継ぎ早にCR、CR言われても・・・。
【C Rやる歯科night】ってわけでSKY?
そして現われたるあの鈍色に光る医療器具、ドリル。
キュイィィーーーン!!!
あぁ・・・。
もう逃げ出すことなんてできないんだ。
僕の虫歯を削るために、果てしなく無機質で、あくまで精密なその機械は、
本領を発揮してきたのでした。
みるみるうちに削られていく僕の病巣たち。
歯科衛生士のお姉さんも僕の頬肉にバキューム的な機械を押し付け、
余分な唾液をグイッグイ吸い取る。
吸い取る。
耳をつんざく金属音、頬をねぶる吸引音、頭蓋に響く振動。
その全てが三位一体となり、
あまりにも明快に、冥界への誘いのオーケストラが響き渡ったのです。
しかしそれは同時に、
完治へのファンファーレだったのです・・・。
~明日に続く~